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コラム

爆発する3Dプリンター

2016.05.24

ArchiFuture's Eye               ARX建築研究所 松家 克

今年も早くも待ちに待った「Archi Future 2016」の企画会議が始まった。グローバルな情報
収集を徹底し、魅力ある講演とセミナー満載で10月の開催に臨みたいと考えている。
 
さて、本題。先日、3Dプリンターのセミナーに参加の機会を得た。講座は満員御礼の状況で
あった。現在は、光造形法、粉末法、熱溶解積層法、シート積層法、インクジェット法などが
実用化されている。元々、3Dプリンターの発想は日本にもあったという。
 
ウィキペディア(抜粋)によれば、「3Dプリンターとは、3次元CAD/3次元CGデータを元に
立体を造形する機器。通常は積層造形法によるものを指す。初期のものは1980年代に開発さ
れ実用化。1980年、小玉秀男が光造形法を発明。また1983年にチャック・ハルが3Dデータ
の保存方式を開発し1987年に商品化。これが初の3Dプリンターとされる。1995年、MITが
開発した製品を初めて3D Printing (3DP)の商標で販売。これにより他と区別して3Dプリン
ターと呼ぶようになった。2009年に基本特許の保護期間終了に伴って数万円~数十万円のも
のが発売され始め個人や家庭でも導入が始まった。2008年から2011年にかけて、低価格の
個人用3Dプリンターは毎年平均346%もの爆発的成長を遂げ、2014年2月には精密な造形に
適したレーザー焼結法の特許の保護期間が終了。この方式に複数の企業が参入。近年では3D
スキャナーを搭載した機種や熱溶解積層法以外のより精密な造形に適した光造形法等の低価格
化も進み普及に拍車をかけ、新規参入が相次ぎ、新たな開発競争の段階を迎えている。」と
ある。
 
当然ではあるが、BIMデータの有効利用も可能であり、建築界で熟達した技術者が激減してい
る今、デジタルファブリケーションと3Dプリンターは欠かせないものとなりつつある。建築
界の近未来的には、デジタルコンストラクションへの応用は、疑いのないところといえる。
まずは、建築模型製作が進んでいる。ロボットがAIにより条件に見合った3Dのデータを作成。
3Dプリンターなどを有効に駆使し部品を造り、ロボットがロボットを組立てることも想定さ
れる。
 
イタリアの3Dメーカーは、家を造ることを目的とし、使用電力をソーラーパネルで賄える省
電力稼働が可能な世界最大の巨大3Dプリンターを完成させた。建設地の粘土や土に植物繊維
を加え強度を持たせ、地材地産で、環境負荷を最低限に抑えているという。バケットの先に取
り付けられたノズルで材料を押出しながら立体プリントさせ造形する。オランダでは、移動可
能な産業用ロボットアームとの組合せの3Dプリンターにより鋼材橋を造り上げている。この
事例は、このコラムの他稿で詳しく報告される予定。医療や福祉関連への応用では、廉価な義
手部品を3Dプリンターでプリントし組立てている。ウェブサイトでも公開され、登録された
6,200名のボランティアにより、既に800人に贈られているという。日本版もベンチャー企業
の「イクシー」がチャレンジし開発され、本体パーツを3Dプリンター出力し誰でも組立可能
な義手だという。まだ多くの課題があり、データなどは「オープンソース」化。実用化に向け、
多くの人の協力を期待。
「オープンソース」などでの課題として、著作権、クレジット表示などに関連し、「クリエイ
ティブ・コモンズ・ライセンス」という仕組みが考えられている。
 
建築関連、医療・介護関連、ランナー向けの最適な靴などのスポーツ関連、各種雑貨、車・航
空機・カメラの部品、有田焼などに3Dプリンターの応用が爆発的に広がりつつある。5月23日
付の日経産業新聞の全面広告が、「24階建のビルが24時間で建つ日もそう遠くないのかもし
れません」のコピーとともにロボットアームによる建方中のCGが目に飛び込んだ。デジタル
コンストラクションが現実化する日も遠くないかもしれない現在、日本の大手プリンターメー
カーも3Dプリンターの開発に本格的に取り組み始めている。今後もこの「3Dプリンター」か
らは、目を離せない。