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コラム

建築BIMの時代

2019.05.16

ArchiFuture's Eye                 大成建設 猪里孝司

2019年4月24日、25日の建設業界紙の第一面の見出しはBIMのオンパレードだった。特に
25日のトップ記事は「建築BIM推進会議(仮称)」の設置であった。BIM元年といわれる
2009年から10年、ようやく建築BIMが本格的に推進されようとしている。建築BIM時代の幕
開けといえる。大いに期待している。

日本ではBIMという言葉を使いだしたのが、設計者や施工者など建築の生産にかかわる人たち
だったため、建築を作る段階での活用に注目されてきた。そして、その目的の一つとして作業
効率の向上を挙げていた。効率の向上は分かりやすい効果ではあるが、単一の企業や職種で実
現することが現実的でない場合が多々ある。プロセス全体でみると効率が上がるが、部分的に
負荷が増える過程がある。その場合、総論賛成、各論反対となることが多い。それを打破する
ため、さまざまな企業や団体が、個別にまたは共同でさまざまな試みを行ってきたが大きな流
れに至らず、今日を迎えている。

最近、「知ってるつもり 無知の科学」という本を読んだ。昨年4月に出版され、今年の2月で
11版なので読まれた方も沢山いらっしゃると思う。非常に面白かた。最新の認知科学の知
見から、人は自分が思っているほど知識があるわけではなく、多くの知識や経験は知識のコ
ミュニティの中で共有されていること、それによって集団として知能を高めてきたことが人類
の特徴であるとし、知識のコミュニティにどれだけ貢献し、集団としての知能を高めることが
重要であること述べている。また、人は「知っている」ことを「理解している」と錯覚してお
り、その錯覚に気づかないまま重大な決定をしてしまうことがあり、それを改善するための提
案を示している。個人としての対策として「自らの理解に欠落があることを認識しておく」こ
とを挙げている。まさに「無知の知」である。

BIMの本質は建築の利用、運用、生産にかかわるすべての人が、デジタル情報を介してつなが
ることだと考えている。それが錯覚でないことを祈る。「建築BIM推進会議(仮称)」で、さ
まざまな役割で建築に関係する人たちが一堂に会することになる。それぞれの役割や立場
え方があるので議論が百出し紆余曲折も予想されるが、「無知の知」を体感する場ととらえ、
ここでの議論、活動を通して建築BIMが本格的に活用されることを期待している。

 建築BIM推進会議(仮称)の検討体制<案>(画像は国土交通省ホームページから転載)

 建築BIM推進会議(仮称)の検討体制<案>(画像は国土交通省ホームページから転載)