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コラム

ロボットと新たなる労働

2019.10.01

パラメトリック・ボイス 

             アンズスタジオ / アトロボテクス 竹中司/岡部文

岡部  ロボットやAIに注目が集まる中、未来の労働や仕事についての議論が熱い。
    そもそも、日本語の「働く」には「labor」あるいは「work」の両方の意味合いがあ
    る。laborの語源は、ラテン語「laborare」にあり、肉体的で苦痛を伴うイメージが
    強い。一方でworkの語源はドイツ語にあり、自らが何かを行動する能動的な意味合
    いがある。
 
竹中  それがロボットやAIの登場によって、再び問い直されている。
    こうした議論には大きく2つの意見が見られる。「ロボットは何でも出来るから人間
    の仕事が奪われ、混乱をきたすだろう」といった否定的なもの、一方で「肉体的労働
    はロボットが代わって行い、人間は創造的仕事に従事できる」という肯定的なものだ。
 
岡部  そうだね。けれど、かつて産業革命に伴う自動化の流れに失業の不安を感じた手工業
    者や労働者が起こした「ラッダイト運動」が失敗に終わったように、新しいテクノロ
    ジーが必ずしも人の職業を奪うのではなく、かといって従来の創造的とされる仕事に
    群がるわけでもなく、むしろ、より人間らしい職業を新たに生み出すという見方もで
    きるはずだ。
 
竹中  例えば、人間が自ら材料を切削しなくとも、切削するためにロボットを教育する仕事
    が発生しているのは確かだ。どんなことを教え、どのように考えさせるか― その全
    てが、人間の力量にかかっている。
 
岡部  ラッダイト運動が静まった後に、豊かさを探求する工業デザインという分野が注目さ
    れたように、ロボットやAIの起こす革命は、人間らしい可能性を引き出し、そこに新
    しい社会的な価値を見出してくれるはずだ。
 
竹中  けれど、デジタル技術による生産革命が起これば、そのインパクトは産業革命の比で
    はないことは確かだ。僅かな人間とロボットたちで成り立つ世界である。昼夜問わず、
    無数の製品や食料を製造できるようになり、それらをAIが管理し、無人で運ぶ。そし
    てついに人類は、生存のための労働から開放されるのだ。その先の未来は、人間が知
    的な豊かさをどれくらい貪欲に求めるか、にある。
 
岡部  デジタル技術による生産力の向上は、労働の価値についても、新しい考え方を生むだ
    ろう。20世紀を飛び越えて、手工業の時代に培った匠な技を、再び探求する必要があ
    るかもしれないね。
 
竹中  労働の価値とは、いったい何だろうか。果たしてロボットに代役が務まるのだろうか。
    改めて「自分たちは何のために働いているか」を考えてみる良い機会だと思ている。

    ※上記の画像をクリックすると画像の出典元のMACLEANSのWebサイトへリンク
     します。

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竹中 司 氏/岡部 文 氏

アンズスタジオ /アットロボティクス 代表取締役 / 取締役