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コラム

ロボット技術の最前線

2019.11.28

パラメトリック・ボイス 

             アンズスタジオ / アトロボテクス 竹中司/岡部文

岡部  2年おきに開催されている国際ロボット展iREXが、来月12月18日から21日まで開か
    れる。2017年の展示から早2年。今年もさらにヴォリュームを増しての開催となるよ
    うだね。

竹中  国際ロボット展は、1974年に初開催されて今回で23回目を迎えるそうだ。出展者数
    は着実に増加していて、今回は合計で637社、海外出展者数も増加して95社に登ると
    いう。今、日本で最も注目すべきロボット技術のイベントだと言えるだろう。

岡部  そうだね。ヒト対ロボットの関係を色濃く感じた2015年の展示に対して、2017年は
    産業用ロボットの安全対策規則が改正された影響が大きく、協調型ロボットの登場が
    大きな変化を生んでいたね。例えばKUKA社のLBR iiwaやABB社のYuMiは、人が直
    に手を触れることができるため、ロボットとの関係性がぐっと縮まった。

竹中  さらには、機械学習や人工知能といった、ロボットの脳にあたる部分に関わる先進的
    な試みもいくつか見ることができたね。今までは、物を右から左へと正確にかつ高速
    に移動させるマテリアルハンドリング作業を行うロボットたちが主流だったけれど、
    これに対して、より人間らしくゆっくりと「考えるロボット」が注目を浴びていた。

岡部  例えばデンソーウェーブの学習ロボットの、ぎこちなくも一生懸命にタオルを畳む様
    子は、来場者たちの心を引きつけていた。まだまだ未熟だった彼の動作が、今年はど
    んな進化を見せてくれるのだろうか。ひとたび学びはじめると、驚異的な能力を発揮
    する学習ロボットの最先端に期待ができる。

竹中  また、こうしたロボットの登場で、自動車業界にとどまらず、医療や農業などの分野
    での活躍も見ることができるはずだ。

岡部  さて今回、我々アットロボティクスの展示では、ロボットの技ではなく、技を生み出
    すためのプラットフォームに注目している。

竹中  生産技術の現場に大きな進化を導くためには、デジタルセンスを持った若い人たちの
    力と活躍が必要不可欠だ。そのためには、多くの若者たちがデジタルものづくりに貢
    献でき、夢中になれる仕組みが求められる。コンピュータとロボットをひとつの道具
    として統合し、加工組立に特化したプラットフォームこそが、デジタルものづくりに
    革新を起こすのだ。

  慣れた手つきでビールを注ぐiiwa(2017国際ロボット展)
  ⒸTomohiro Ohsumi / Getty Images News / Getty Images

  慣れた手つきでビールを注ぐiiwa(2017国際ロボット展)
  ⒸTomohiro Ohsumi / Getty Images News / Getty Images

竹中 司 氏/岡部 文 氏

アンズスタジオ /アットロボティクス 代表取締役 / 取締役