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ユーザー事例紹介

レブロの活用で楽しく魅力のある職場を目指す、
ユーザー会の活動<レブロ ユーザー会 中部>

2021.09.28

BIM本来のメリットを活かしてデジタル化を推進し、業務効率を大幅に向上したい。そして何
より、現場の作業所を魅力的にしたいと発足した「レブロ ユーザー会 中部」。
同ユーザー会は、建築設備専用CAD「Rebro」(レブロ)を活用するうえでの情報共有と習得
機会を提供するため、定期的にセミナーなどの開催を開始した。
企業の枠を越えて、会社内でBIMソフトをどのように導入し、実務の現場に普及させていくか。
同ユーザー会を立ち上げて運営する中心メンバーの方々に、話を伺った。

■レブロの導入を広めるための企業の垣根を越えた情報共有
名古屋で2021年初頭に発足した「レブロ ユーザー会 中部」は建築設備専用CAD「Rebro」
(以下、レブロ)のユーザー会であるが、東京のユーザー会とは、背景や意図が多少異なって
いる。東京では大手ゼネコンやサブコンなどのBIM推進部門の担当者が、ソフトへの要望を議
論したり、新たな機能搭載の希望を伝えたりする場となっている。名古屋でのユーザー会を立
ち上げた竹中工務店名古屋支店の内藤有希氏は、次のように振り返る。

       株式会社竹中工務店 名古屋支店 設備部 設備施工管理3グループ 課長 
       内藤 有希 氏

       株式会社竹中工務店 名古屋支店 設備部 設備施工管理3グループ 課長
       内藤 有希 氏


「中部地区の作業所で協力会社がレブロを導入したという例がいくつかありましたが、その後
の運用は必ずしもスムーズでないようでした。導入後に、実際の運用において何らかの理由で
つまずいていたようです。その時に近くに気軽に聞ける人がいれば、解決の仕方がわかったの
ではないかと思いました。そして、ソフトの操作というよりは、実際の現場の施工図管理や作
成にまつわるテクニックや解決策について、企業の垣根を越えた情報共有ができるようにでき
たらと考えました」と語る。
内藤氏がレブロの開発元のNYKシステムズおよび大塚商会と、ユーザーのフォローを含めた情
報共有の場を設けることを相談したところ、レブロに全面的に切り替えたあるユーザーのこと
を耳にした。それが、サンセツビ空間計画の犬塚憲仁氏であった。

       株式会社サンセツビ空間計画 代表取締役 犬塚 憲仁 氏

       株式会社サンセツビ空間計画 代表取締役 犬塚 憲仁 氏


犬塚氏はBIMへの関心が高く5年ほど前にレブロに移行し切り替えたユーザーである犬塚氏
は「レブロでの施工図作成は、やれることを自分で少しずつ切り拓きながら描いてきました。
この数年で時代が急速に変わりつつあっても、名古屋はまだ保守的であるように思います。そ
の時に内藤さんからユーザー会の話をいただき、自分もレブロを広めたい、レブロを広めない
と設備でのBIMが進まないという想いがあったので、参加しました」と振り返る。
犬塚氏はiPadで動く3DCADのモデルを見た時にCADはBIMへと置き換わると確信し複数
のBIMソフトを試用する中で、行き着いたのがレブロであったという。「現時点でも、レブロ
だけでさまざまなことができる。設備から構造、建築図とダイレクトにつながるレブロで、建
築のBIMの世界がもっと広がると確信しています」と語る。

 レブロで作成した3Dパース①

 レブロで作成した3Dパース①


■建設業界の暗いイメージを払拭し、現場が毎日楽しくなるように
会の開催にあたて内藤氏が強調したのは楽しく魅力のある職場を目指してBIM
を広めていきたい」という目的であったという。「みんなで楽しく仕事ができて幸せになるこ
とを目指しています。デジタル化で業務がはかどれば、心理的にもっと楽になるはず。目の前
の問題を解決しながらICTツル全般にデタを連携することで業務効率を上げていきたい
犬塚氏から声がけされて初回に参加した川崎設備工業の鈴木啓弘氏は、このユーザー会の目的
に感銘を受け、運営メンバーに加入した。

       川崎設備工業株式会社 工事管理本部 DX推進部長 鈴木 啓弘 氏

       川崎設備工業株式会社 工事管理本部 DX推進部長 鈴木 啓弘 氏


「建設業界の暗いイメージを払拭したい、現場が毎日楽しくなるようにしたいと常日頃思って
います自分の立場では施工が魅力的になればいいなと思い参加しましたいまはまだ3回
だけの開催ですが、身近な反響では、社内のメンバーが犬塚さんや他のサブコンの取り組みの
話を聞きながら、こんなこともレブロやBIMでできるというモチベーションが上がりました。
今後はもっと大きな効果が期待できると思いますし、メンバーを増やして参加していきたい」
と語る。
ソフトの普及にあたっては、社内での展開がネックになることも多い。鈴木氏はユーザー会の
第2回でレブロ(BIM)の社内展開の工夫と題したレクチャーを受け持ち実用的なアドバ
イスを伝えた。
そして内藤氏は情報を連携するBIMのメリットをレブロのユ会を通して広めていきた
いという。「レブロでBIMモデルを作りこむことで他ツルとデタの連携ができタを
有効活用できるようになります。そして1人で使うよりもユーザー同士で連携することで効
果がより高まりますと内藤氏は語る犬塚氏も線を描くだけがレブロではなく電気設備も
機械設備も情報をBIMの中にどんどん入れていき、そのまま維持管理モデルとしても使えます。

 レブロで作成した3Dパース②

 レブロで作成した3Dパース②


クライアントの中にも、メンテナンスに使えるメリットを見出して、どのように取り入れるこ
とができるかと問い合わせをしてくる方もいます。クライアントが扱えるデータにしていくこ
とで、さらに大きなメリットがあるでしょう」と強調する。
 
■個人と個人のつながりを持てるのがユーザー会のメリット
2021年4月に行われたユ会の1回目は講演会として新機能を含むレブロの紹介を開発元
のNYKシステムズが行い、続いて犬塚氏にレブロ導入に至る経緯やメリットを語ってもらう内
容とした。最初は知人から声がけをしたが、対象はレブロを使っている人、レブロをもっと活
用したいと思っている人、これからレブロを始めようと思っている人。つまり、実質的にすべ
ての実務者を対象としている。

      第1回中部ユーザー会の会場風景(大塚商会セミナールームにて)

      第1回中部ユーザー会の会場風景(大塚商会セミナールームにて)


6月に開催された2回目では先述のように鈴木氏によって社内展開のコツについてまたレブ
ロで行える3Dモデリングについてイメジをふくらませるレクチャーがされたユーザー会は
2カ月に1度の頻度で開催する予定で、第3回目も8月に開催。「施工管理活用」のテーマで、
データ連携の実際の活用事例などが紹介され、iPadでレブロの属性データを見ることのできる
サービスも示された。犬塚氏は「現場監督がiPadで統合モデルを見て監督同士や職人と話せた
り、施工帳票が作成できたりすれば、現場からそのまま帰ることができ、残業時間を圧倒的に
減らすことができるはず」と、今後のソフト開発やさらなる連携にも期待を寄せる。
現在のところコロナ禍の状況にあって、なかなか一堂に会してユーザー会を開催することはで
きず、動画配信の手段を中心としている。それでも、ユーザー会のメンバーは手応えを感じて
いる犬塚氏は「会社と会社だと身構えてしまうが、ユーザー会だと個人と個人の会話になり、
打ち解けた話もできるし、レブロやBIMについての話が広がっていきます。いまはきっかけが
できたところで、もっと広がればいいと期待しています」という。鈴木氏も「同じ思いです。
このような場がなければ、メンバーの方々にも出会うことはなかったし、他のサブコンの方々
とも話をする機会もなかった。レブロやBIMを中心に、人とのつながりを持てたのが一番の成
果です」と語る。


内藤氏は「いまは電気と機械を分科会として分けることなく、同じテーマで一緒に開催してい
ます。同業他社の話を聞く機会は意外と少ないので、しばらくは視野を広げながら物事を見ら
れるようにできたらと考えています」という。そして、ユーザー会の内容とプレイヤーも変え
ていきたいと語る「あくまで一人のユーザーとして教え合うというユーザー交流の場なので、
会社を代表して発表するような場にしたくない。現場代理人や若い担当者が、こんなことを
やっている、とアピールする場にしたいですね」。
「興味をもってくれる人は増えているが、本当の結果が出るのはまだ先」と口をそろえるユー
ザー会の中心メンバー。しかし、ユーザー会が持つ本来の特徴を最大限に活かしながら、企業
の垣根を越えて交流し高め合う土壌が、レブロ ユーザー会 中部では醸成されている。

「Rebro(レブロ)」のさらに詳しい情報は、こちらのWebサイトで。