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2025年日本建築学会賞を発表<日本建築学会>

2025.04.22

一般社団法人日本建築学会は、2025年日本建築学会賞を4月21日(月)に発表した。
大賞には、「アジアの視座からの世界住居・都市研究の飛躍的発展ならびにタウン・アーキテ
クトの研究・実装に関する多大な貢献」により布野修司氏(滋賀県立大学名誉教授/日本大学
客員教授)、「鉄筋コンクリート造の品質向上と高性能化に関する一連の研究と技術普及活動
による建築界への貢献」により桝田佳寛氏(宇都宮大学名誉教授)、「脱炭素社会に資する建
築設備の理論研究の発展と実践への貢献」により吉田治典氏(京都大学名誉教授)の3名がそ
れぞれ受賞した。
大賞は、建築に関する学術・技術・芸術の発展向上に長年の業績を通じて、特に著しく貢献
した同学会の個人会員を対象としている。

注目の学会賞(作品)は「天神町place」の伊藤博之氏(伊藤博之建築設計事務所代表/工学院
大学教授)、「高槻城公園芸術文化劇場」の江副敏史氏(日建設計設計監理部門デザインフェロー)、多喜茂氏(日建設計設計審査グループアソシエイト)、髙畑貴良志氏(日建設計設計
グループ兼テックデザイングループDDL)の2作品が受賞した。
「天神町place」は、台地の淵、崖にかかるような旗竿地の複雑な高低差のひだの上に、住戸
空間を内在する二重曲線を重ね描いた賃貸集合住宅で、場所性を消費し薄めてしまう都市化の
宿命的なループを断ち切り再起動するだけでなく、集まって住むことの本質的な魅力へと繋げ
ており、都市の風景を形成するビルディングタイプである賃貸集合住宅において新たな評価
軸を加える重要な転換点であるとして高く評価された。
「高槻城公園芸術文化劇場」は、断面構成を工夫することで全体としての高さを抑え、ほとん
どの空間がガラス張りで透明感にあふれる“広く開かれた公共建築”である点や、「高槻の杜」
をコンセプトに掲げ、徹底的に木材の活用を試みている点、決して過剰には主張しないが、確
かなエンジニアリングに支えられたデザインやディテールである点など、意匠、計画、環境、
材料、構造などで建築的な総合性を高い水準で獲得していることが高く評価された。

    天神町place 撮影:西川公朗

    天神町place 撮影:西川公朗


 高槻城公園芸術文化劇場 撮影:伊藤 彰[aifoto]

 高槻城公園芸術文化劇場 撮影:伊藤 彰[aifoto]