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コラム

将来を考える標準化

2025.10.09

パラメトリック・ボイス       SUDARE TECHNOLOGIES 丹野貴一郎

私の住まいは築25年ほどのマンションなのですが、今年備え付けのエアコンから発生する異音
が止まらず交換をしました(交換工事中に本コラム執筆中)。
いわゆる天井埋め込み型のものなのですが6月末に管理会社に連絡をして7月前半に機器調査
そして10月頭の工事というスケジュールで、結局最も暑い時を異音のなるエアコンで過ごしま
した。
エアコンに限った話ではありませんが、ちょっとした工事のスケジュールを見るだけでも、
工事にかかる期間が延びていると実感します。
 
天井埋め込み型のエアコンが家にある方ならご存じかもしれませんが、壁取付のものと比べる
と何かと費用がかかります。
エアコンクリーニングなどは調査後に見積ということも珍しくないのですが、これは実機を見
ないと手間が分からないという事です。
機器が露出していないため、簡単に養生できないことや、配線・配管が天井内にあるため、そ
こまで掃除の必要がある場合はルートをたどらなければいけない等、見ないとわからない事が
多いことが理由です。
 
これが交換となると、他にも様々な問題が発生します。
今回最初に問題になったのは後継機が存在しないということでした。
先に付いていたのが東芝のものだったのですが、後継機がないため他のメーカーの機種で探さ
なければならないとなりました。適合させなければいけないのは天井ボードの穴の大きさ、吊
りボルトの位置、配管の位置、電源の位置等で、私の住まいの特殊事項として、室外機が置か
れているベランダが巾390mmの窓を通ってしか行けないため、室外機の幅が390mm以下で
なければいけませんでした。
幸い電源の位置を逆にすれば何とかなりそうな機種が見つかり現在工事中です。
 
分かり切っていることですが、メンテナンスは避けられないものなので、せめて掃除のしやす
さや交換のしやすさは考慮しておくべきでしょう。
例えば規格化は交換のしやすさに繋がりますが、時代とともに追加される新たな機能を完璧に
予測することは不可能です。
規格化を厳密にしすぎると規格に縛られすぎて逆に機能の追加が困難になったりもします。
 
BIMを含めて様々なDXの中で、標準化という取り組みをしていたりすると思います。
これまでのやり方に合わせた標準化を進めるあまりBIMの機能を独特な使い方で手間を増やし
ていたりしないですか?
独特の使い方で作成されたデータは後々扱いが難しくなり、そのためのツールを作らなければ
いけない等、手間が手間を生む誰もが触れたくないデータになります。
もしかすると新たな技術がそのようなデータも処理してくれるようになるかもしれませんが、
そこに期待して扱いにくいデータを作成するのは良い方法とは思えません。
 
もちろん現状では独特な方法を用いるしかない場合もあると思います。
しかし、標準化というのはこれまでのやり方を捨ててでも将来につなげることだと思います。
いままでできていたからという理由で390mmの窓の外に室外機を置くようなことはやめま
しょう。

丹野 貴一郎 氏

SUDARE TECHNOLOGIES    代表取締役社長