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中小建設業のDXがもたらす組織と働き方の変革
~システム連携で属人化を解消<大神>
2026.07.14
建設業界では、働き方改革や完全週休2日制への移行が急務となっています。しかし、多くの
企業がITツールの導入を進める一方で、「システムが現場に定着しない」「複数のツールが
乱立して二重管理になっている」といった「デジタルの壁」に直面しているのも事実です。
地域に根差した水道工事店からスタートし、現在は建築・土木工事や給排水空調総合設備工事、
総合ビル・マンション管理を手掛ける総合建設業の大神(神奈川県横須賀市)。岩﨑次郎氏が
代表取締役を務める同社は、まさにこの課題に正面から向き合い、ドラスティックな変革を成
し遂げました。
組織再編と働き方改革を劇的に進めた同社の試行錯誤のプロセスと導入効果について、変革の
舞台裏を詳しく伺いました。
【お話を伺った方】
A氏(管理者:経営・マネジメント視点からDXを主導)
B氏(IT統括:システムの選定・社内インフラを整備)
C氏(現場担当:施工管理など現場の最前線でシステムを活用)

形骸化した写真管理と、現場に蓄積する時間的ロスという導入前の課題
建設業界で働き方改革が急務となる中、従業員約150名の大神も「ITツールの未定着や乱立」
という課題に直面していました。
本格的なシステム検討の背景には、自社構築した写真管理システムの形骸化がありました。
当時のシステムは単なるデータ置き場と化し、カスタマイズも限界を迎えていたのです。最大
の問題は写真整理が追いつかず、物件や工程の管理が乱雑になっていたことでした。写真の過
不足が多発し、取引先への提出段階で不備が発覚して現場へ再撮影に赴く「手戻り」が頻繁に
発生。これは企業の信用に関わる重大なリスクでした。
さらに、写真が個人端末に保存されたまま期限直前に台帳を作るという運用が常態化しており、
その段階で初めて施工の不具合が発覚するため、常に修正対応に追われていました。この慢性
的な時間的ロスと組織的な混乱状態を根本から解消することが、同社の最優先課題でした。

株式会社大神 代表取締役 岩﨑 次郎 氏
「現場Plus TF」を導入し手詰まりから「クラウド」への大転換
状況打破のため、同社は2020年に古い基幹システムの刷新に着手しました。当時は基幹シス
テムとExcelの二重管理が常態化しており、今後の企業成長のためには限界を迎えていたの
です。
そこで同社は、従来のオンプレミス型からクラウド型への転換を決断します。オンプレミス時
代は維持・管理に必要な専門人材を社内で確保せねばならず、深刻なIT人材不足に陥っていま
した。 停滞の中、社長自らが展示会で出会ったのが、ダイテックの建設業向けクラウドサー
ビス「現場Plus TF」でした。経費や売上とのバランス、将来的な拡張性を検討した結果、全
面移行は必然の選択でした。人材不足とシステムの限界を一気に解消する、同社にとって最適
な選択肢となったのです。

現場Plus TFの概要および特徴
「3グループ」で現場の抵抗をスマートに突破し社内を巻き込み展開
新システム導入時に直面する「現場の反発」に対し、同社は全社一斉ではなく、社内を
「3グループ」に分けて段階的に展開する方法を採用しました。
まず、デジタル化に前向きな部署を「先行グループ」に選定。紙ベースの業務から旧システム
を挟みつつ、段階的に新システムへとステップアップさせました。この丁寧なプロセスにより、
先行部署では混乱なくスムーズに定着していきました。効果はすぐに現れ、現場Plus TFの直
感的な操作性によって日々の入力作業が劇的に効率化。「業務が楽になった」との声が相次ぎ、
残業時間が削減される成功事例が生まれたのです。
一方で、準備期間が不足し、後発となった部署では現在も定着に少し苦労している面もありま
す。しかし、社内に先行部署という身近な「成功モデル」が存在するため、会社全体として向
かうべき方向性に迷いはありません。

現場Plus TFの提供機能
現場における具体的な活用と、もたらされた「3つの効果」
同社は基幹システムと、現場Plus TFをシステム連携させ、契約前の商談段階からシームレス
にデータを引き継ぐ運用を構築しました。この連携により、現場には3つの大きな効果がもた
らされました。
1つ目は、「手戻りの撲滅」です。
現場で写真を登録した瞬間に社内へ通知が届くため、施工の不具合を即座に検知できるように
なりました。作業員が現地にいる間に指示や手直しができるようになり、後からの再撮影や手
戻りが完全に解消されました。
2つ目は、「部署間連携のスピード化」です。
複数の部署がトーク機能を通じて同じ物件のグループに入り、情報共有を密にしています。
事務方の入力情報を現場担当者がリアルタイムに確認できるため、書類の郵送や手渡しによる
タイムロスが消滅。「近くの現場へ即座に向かう」といった、現場の自律的な動きが可能とな
りました。
3つ目は、「移動時間の削減(直行直帰の実現)」です。
図面確認、写真登録、進捗報告のすべてが現場で完結するため、事務作業のためだけに帰社す
る必要がなくなりました。これにより直行直帰スタイルへのシフトが実現。
管理者であるA氏も、トークグループへの参加により、現場へ足を運ばずとも各社員の動きや
不具合の状況をリアルタイムに把握可能となり、「精緻な管理によるマネジメントのしやすさ
を実感している」と語ります。
働き方改革と「属人化からの脱却」がもたらす組織変革
現場Plus TFの導入は、完全週休2日制や働き方改革の強力な推進力となりました。導入前はア
ナログな手法ゆえに業務負荷が高い状況が続いていましたが、導入後は休日出勤が激減。定時
退社や有給休暇の消化率向上が実現し、ワークライフバランスは明確に向上しています。
また、最大の経営課題であった「業務の属人化」も解消されました。現場情報がクラウドに集
約されて仕事が「見える化」したことで、管理者が適切に業務を配分できるようになり、急な
欠員時にも他のメンバーがフォローできる体制が整いました。
A氏は「今後は組織のあり方自体をデジタルに最適化させることが、中小企業の成長の分岐点
だ」と強調します。システムを通じて自社の現在地が明確になったことで、全社員が変革の
必要性を肌で感じており、将来のビジョンも確かなものとなっています。

業界全体の底上げと、若者に選ばれる企業へ
同社は次なる展望を見据えています。現場の課題である「ITリテラシーの年代格差」に対し、
IT統括のB氏はベテラン層が迷わないルールの整備など、利用者を置いてきぼりにしない工夫
の重要性を指摘します。
さらに、高齢化が進む建設業界での生き残りに向け、サプライチェーン全体のデジタル化を狙
う「協力会社のITレベルの底上げ」も大きなステップです。A氏は「効率的な労働環境は若い
人材に選ばれる武器になる。優れたシステムで人材を呼び込み教育することが未来への足掛か
りになる」と語り、業界全体の変化を見据えています。
今後への期待とさらなる企業の発展に向けて
C氏は入社当時を振り返り、紙からタブレットへの移行による劇的な変化を体感したことで、
システム連携がもたらす働き方の進化に強い確信と期待を示しました。
最後に、A氏は元請けと自社のシステムの板挟みに悩む下請け企業の現状を指摘。中小企業が
生き残り、日本の経済を元気にさせるためにも、現場に寄り添ったシステムの発展において
ダイテックホールディングと福井コンピュータホールディングスの統合に強く期待すると語り
ました。
激変する業界で、現状維持に甘んじることなくシステムを武器に変革を続ける同社の挑戦は、
同じ課題に悩む多くの建設会社にとって、未来を照らす確かな道標となるはずです。
「現場Plus TF」の詳しい情報は、こちらのWebサイトで。

























