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ユーザー事例紹介

AIによるPDF図面の読み取り精度99%が変える
BIM積算の自動化<U’sFactory>

2026.07.21

建築構造図面のPDF読み取り精度を99%に高め、積算・見積作成の自動化を大幅に前進させる
ツール「AI Structure ver 3.0」。
U’sFactory(ユーズファクトリ)がリリースしたこのツールは、鉄筋の部材定義情報
をわずか10〜30分で取得し、専門職が1〜5日かけていた作業を数時間にまで短縮する。
14年にわたってBIM積算ツールを開発してきた同社が精度向上の鍵として辿り着いた「諸元範
囲」という発想は何か。
同社の代表取締役社長であり、現場を知り抜いたエンジニアである上嶋泰史氏に、話を詳しく
聞いた。
 
7〜8割の壁を破った「何丁目何番地」の発想
BIMデータを活用した積算・見積の自動化は、建設業界が長年追い求めてきたテーマである。
着工前には契約数量を得て明細見積書を用意し、着工後には実施数量を得て協力会社契約を経
て最終精算を行うために、PDF図面から躯体や仕上げの3Dモデル作成が行われることが多い。
しかしその際、情報を自動取得するAI OCRは、U'sFactoryが開発した前身の「AI Structure」
でも読み取り精度が7〜8割程度にとどまり、残りの修正作業に時間を要していたという。

        株式会社U’sFactory 代表取締役社長 上嶋 泰史 氏

        株式会社U’sFactory 代表取締役社長 上嶋 泰史 氏


「AIにデータを読み込ませることを続けても、精度がある一定のところから上がらない状況が
ありましたむしろ落ちる場合もあったのです」と上嶋氏は語る従来のアプローチは1枚
の黒板(部材リスト)全体を対象にAIに学習させ、部材寸法や鉄筋情報を一括で読み取らせる
ものだった。しかし、図面の描き方が会社ごとに異なるため、パターンを増やせば増やすほど
精度が頭打ちになるという構造的なジレンマを抱えていたのである。
この壁を突破したのが、上嶋氏が適用した「諸元範囲」という考え方だ。AIに図面全体を自由
に解釈させるのではなく、人間が表を理解するのと同様に、構造図の部材リストの表全体の
「上端」「下端」「諸元範囲」「リスト範囲」といった、画像から読み取るべき領域をボタン
操作でそれぞれ指定する。これによってAIの解釈対象を限定し、座標ベースで「何丁目何番
地」という1対1の関係性を先に確定させてから情報を読み取るという仕組みだ。

 AIが部材定義の表読み取りを理解して情報を整理

 AIが部材定義の表読み取りを理解して情報を整理


「区画を整理させてから、それらの情報をすべて持たせるというアプローチです。AIを限定的
に使うことで、正確な情報を取得することにつながりました」と上嶋氏は説明する。
この仕組みによって鉄筋部材情報の読み取りは部材断面の1マスあたり1〜2秒のスピードで進
み、1枚に数十マスがあっても、ものの1〜2分で全項目の情報を自動で取得する。この段階で
まず、AIで入れられた情報が正確かどうかの確認作業も行える。専門的な知識がなく初めて作
業する人でも迷わず扱えることも大きな特長で、「アルバイトやパートの方が、すでに実際に
行っています」と上嶋氏は強調する。
さらに重要なのが、AIからの情報はモデルを配置する前の確認プロセスの仕組みだ。AIが読み
取った情報はCSVでいったん出力され同社の構造3Dモデル作成ツール「BI Structure」に入
れることで、もう一度人の目で部材定義リスト図が合っているかを構造図と照合して二重
チェックを行うことができる。「この作業がとても大事で、ワンクッションをおいて確認でき
ないBIMソフトだけでは致命的になる」と上嶋氏は指摘する。この自動化と人間の確認を組み
合わせた設計が、情報認識率99%という精度を実現したのだ。

 AIが内部仕上表読み取りを理解して情報を整理

 AIが内部仕上表読み取りを理解して情報を整理


PDF読み取りから3Dモデル・見積書まで「情報を先へ先へ使い倒す」
精度の高い部材定義情報の取得は、ワークフロー全体を大きく変える起点となる。
「AI Structure ver 3.0」では、読み取った情報がArchiCADと連携し、3Dモデルの自動生成、
さらには明細見積書の作成まで一気通貫でつながる。読み取り済みの部材定義データを
ArchiCADで階高などの設定をしたうえでインポートすると、構造符号の認識と配置が自動で
行われ、基礎・柱・大梁・小梁を順次立ち上げることができる。さらに鉄筋の自動生成機能と
積算ツール「BI for ArchiCAD」との連携によって、柱の位置や鉄筋本数まで含めた詳細な数
量データが積算ソフトへと流れていく。
この制御設計の思想は、インターフェースにも一貫して反映されている。AIが何をどう読んだ
かを人間が視覚的に確認・修正できる画面構成にこだわったのも、その表れだ。「AIがブラッ
クボックス的に自動作成したということではなく、ここをきちんと取得したということを人間
が見えるようなインターフェースになっていなければなりません」と上嶋氏は語る。
そして上嶋氏が一貫して強調するのは「情報を先へ先へ使い倒す」という思想だ。「3Dモ
デルができたとしても、施工図や提出できる見積書までは自動的にできない一般的な課題があ
る」と上嶋氏。この問題を解決した独自の一気通貫のフローは、現場担当者や積算担当者に驚
きをもって受け止められているという。

 部屋名 (形状) と内部仕上表が連携

 部屋名 (形状) と内部仕上表が連携


内部仕上げについても、同様の「諸元範囲」のアプローチが適用される。仕上げ表をAIで読み
取り、図面上の部屋(ゾーン)と紐づけるマッチング作業は、従来なら並び替えをしたうえで
エクセルを駆使して2〜3日かかっていたこれが手動補正のできるインターフェースで一元管
理できるようになり、積算担当者からも高い評価を得ているという。建具についても符号認識
と姿図の自動読み取りが対応し、内部仕上げ・外部仕上げ・間仕切り・開口補強まで含めた詳
細でリアルな見積書作成が可能だ。
施工段階への展開も進んでいる。工区別コンクリート数量の算出機能では、コンクリート量を
確認しながら工区の区切り方を調整し、実施に近い数値を再計算できる。さらにLGSとボード
を分解して「区画壁をつくる」「ボードを張る」といった作業内容(イベント)ごとに必要な
部材数量を算出できるようになったこれによって工程の予定・実行管理を行えるようになり
内装工事で長年課題となっていた材料の過不足や、それに伴う荷揚げ・移動手間の発生を抑え
られるという。同社のBIMツールは、もはや積算の領域を超えつつある。また超大型案件でも
動作する軽量性は実証済みで、大規模プロジェクトへの採用実績も積み重ねている。
 

 内装詳細工程管理と工事毎イベント数量一覧表出力

 内装詳細工程管理と工事毎イベント数量一覧表出力


設計変更時の数量管理まで一気通貫で支える
4年以上の開発期間を経て成熟してきた「AI Structure ver 3.0」は、現在も進化を続けてい
る。確認申請用の求積表自動生成や、マンション系の案件での住戸タイプ別自動配置など、現
場の細かいニーズに応え続ける取り組みが、ユーザーの信頼につながっている。
加えて同社が重視するのは、設計変更時を含めた数量管理だ。「プロジェクトでは契約見積書
どおりに現場の作業が終わることはなく、必ず設計変更が発生します。その際には、変更個所
だけの増減について明細見積書が必要になりますが、この実施数量の算出については、いまだ
にすべて手作業に依存しているのが実情です」と上嶋氏は指摘する。

 BIM積算から施工図/加工図、実施数量への連携

 BIM積算から施工図/加工図、実施数量への連携


「AI Structure ver 3.0」が実現する高精度な読み取りと3Dモデル・見積書までの自動連携
は、この「実施数量」算出の領域においてもBIMによる数量管理を及ぼすための基盤となる。
「日々の当たり前の作業をいかに簡単にできるかが大事」と上嶋氏は語る。積算から3Dモデ
ル、見積書、施工図、そして、現場での情報共有まで、設計から施工までの情報を分断させず
につなぐというのが、同社が一貫して掲げてきた方針だ。
「設計者及び現場の作業担当者にとって、また顧客にとって有用なものをつくることが私たち
の仕事」とも語る上嶋氏の言葉が開発を貫く一本の軸だそして「AI Structure ver 3.0」
は、建設業における積算DXを一段階引き上げる実践的な答えとなっている。

「AI Structure ver 3.0」の詳しい情報は、こちらのWebサイトで。