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コラム

BIM実務者の働き方~続き~

2023.03.28

パラメトリック・ボイス       SUDARE TECHNOLOGIES 丹野貴一郎

前回に引き続きBIM系の技術者の働き方について考えます。
 
設計図や施工図に関わるBIM業務に関しては、多くの場合ソフトが変わっただけでやっている
ことや流れが変わらないため、働き方も大きくは変わっていないと思います。
これは、良い意味ではこれまでの経験や知識の蓄積があり、人材教育や指揮命令系統など、既
に成立している中で働くことができます。
悪い意味ではこれまでのやり方を変えることが難しく、ある程度決まった働き方を強要される
事になります。
 
逆に活用推進や研究開発に関わるBIM業務に関しては、経験や知識を活かせる場面と新たに考
えていく場面が混在しています。
この場合、これまでの働き方だけではなく、新たな働き方を考えていく必要があります。
良い意味では、これまでのやり方にとらわれることなく自ら考えた働き方ができる場面が増え
ますが、悪い意味では教えてくれる人がいない中でもどうにかしなければいけなくなります。
 
ArchiFuture Webのコラムニストでもある石津さんが先日ツイートしていましたが、“働きや
すい”を実現する会社を作り上げるのは簡単なことではなく、軸を作りそこに親和性の高い人
が集まって初めて“働きやすい”が実現できていくのだと思います。
 
私の考えとしては“働きやすさ”とは各個人の問題よりもチームの問題と考えています。
誰か一人が働きやすくとも他に働きにくい人がいる状況は決して働きやすいとは言えないので
はないでしょうか。
例えば、完全にテレワークで好きな時間に働きたい人にそれを許したとします。他のメンバー
が作業をしている時間に情報の共有ができずに作業が進まなかったとすると、これは会社とし
て働きやすい環境ではなくなります。ましてや、本来作業時間ではない時にメールやチャット
などの対応をしなければならなくなってしまうなどはもってのほかです。
おおよそこういうパターンでは本来の管理者が管理を放棄しており、チームとしては成り立っ
ていないでしょう(私自身の反省も込めて・・・これは働きやすさを理由にした逃げです)。
今では様々なクラウドサービスなどを活用して解決できることもありますが、特に様々な立場
の人が関わる場合は解決できない重要な問題が残ると思います。
 
経営者から新入社員まで、さらに言えば派遣社員や関係先の方までが最もバランスよくという
のが大きな理想ではありますが、会社規模が大きくなればなるほど難しくなるので、せめて同
じ業務をするチームのメンバーくらいは目的を共有した中で最善の“働きやすさ“を考えた方が
良いのではないでしょうか。
 
働き方とは時間や場所だけの話ではなく、業務の目的や取り組み方、役割や立場の作り方、
キャリア形成(あまり好きな言葉ではないですが、他に適当な言葉が浮かばない)の方法な
ど、すべての事が関係します。
会社としてはもちろんですが、チームとしてもどのような“働きやすさ”を目指しているのかを
明確にすることは、人材のミスマッチを減らすことに繋がりますので、「夢を持ってまじめに
仕事に取り組める」のような曖昧なものではなく、具体的な働きやすさを示していった方が良
いと思います。
ちなみに偉そうなことを言いながら私の会社でも示せていませんので、皆さんとともに変えて
いかなければと思い、こんなコラムを書きました。
 

 働きやすさの選択肢を増やすためのSUDAREの新しいワークスペース

 働きやすさの選択肢を増やすためのSUDAREの新しいワークスペース

丹野 貴一郎 氏

SUDARE TECHNOLOGIES    代表取締役社長