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コラム

AIと「この原稿」を考えてみた

2023.03.30

ArchiFuture's Eye                 日建設計 山梨知彦

最近話題のAIがどの程度使えるか試してみるため、今回の原稿はAIのChatGPTとStable
Diffusionと一緒に考えてみた。
先ず、何について書くかを対話型人工知能のChatGPT(plus版、GPT-4を使用)と会話をして
みた。TYが僕で、AIがChatGPTの発言だ。

TY:建築のデザインと施工とコンピューターをテーマにしているwebサイト、
  Archi Futureよりコラムを頼まれているんだけど、何か読者の心に響く良い話題はない
  かな? 読者は、建築デザイン関係者であれば、コンピュテーショナルデザイン、施工
  関係者であればデジタルファブリケーションといったような、最新の情報に敏感な専門
  家がメイン。
 
AI:「Archi Future」の読者に響くコラムのトピックとして、以下の5つのアイデアを提
  案します。


  1.バーチャルリアリティ(VR)と建築デザインの融合
   VR技術が建築デザインに与える影響とその活用方法を解説する。デザインプロセス
   でのVR活用やクライアントへのプレゼンテーション方法、設計者自身のバーチャル
   空間でのデザイン体験を紹介する。

  2.デジタルツインとスマート建築
   デジタルツイン技術が建築物のライフサイクルにどのように役立つかを説明する。維
   持管理や省エネルギー、設備更新のための情報収集など、デジタルツインを活用した
   スマート建築の事例を紹介する。

  3.3Dプリント建築の最新動向
   3Dプリント建築の技術進歩や市場動向を取り上げる。新しい建築材料、建築プロセス
   の効率化、3Dプリント建築による環境への影響やコスト削減についても触れる。

  4.人工知能(AI)と建築デザイン・施工の未来
   AIが建築デザインと施工のプロセスに与える影響を解説する。デザイン最適化、構造
   解析、コスト予測、スケジュール管理など、AIが活用される具体的なシーンを紹介す
   る。

  5.サステナブルデザインとデジタルファブリケーション
   サステナブルデザインを実現するためのデジタルフブリケーシン技術を紹介する。
   循環型経済や廃材の活用、自然素材のデジタル加工など、環境に配慮した建築デザイ
   ンの実例を取り上げる。


  これらのトピックは、建築デザイン関係者やコンピュテーショナルデザイン、施工関係
  者にとって関心が高く、最新の情報に敏感な専門家に向けたコラムとして効果的だと思
  われます。


TY:この中で、貴方のお薦めはどれですか?

AI:私のおすすめは、トピック4「人工知能(AI)と建築デザイン・施工の未来」です。
   (以下略)


TY:賛成です。トピック4を取り上げることにしましょう。コラムに説得力を持たせるため
  に、トピック4の内容に即した建築作品を取り上げられると良いのですが、何かご存知
  ですか?

AI:もちろんですトピック4「人工知能(AI)と建築デザイン・施工の未来」に関連する
  具体的な建築作品として、以下の事例を提案します。


  MX3D Bridgeオランダアムステルダムにある世界初の3Dプリントスチール橋で
  す。このプロジェクトでは、機械学習とセンサーデータを組み合わせて橋のメンテナン
  スとパフォーマンスを監視します。データはデジタルツインに送信され、リアルタイム
  で構造解析や将来のメンテナンスの予測が行われます。これにより、持続可能で効率的
  なインフラメンテナンスが可能になります。(以下略)


TY:MX3D Bridgeとは、2021年に、アムステルダムの運河に架けられた世界初のステンレ
  ス鋼3Dプリント橋ですね。聞いたことがありますが、建築ではなく橋ですよね。あなた
  の答えから察するに、世の中には、人工知能と結びついた建築設計の決定打が未だに現
  われていないという感じを受けました。あなたはどう考えていますか?

AI:おっしゃる通り現在の段階では人工知能と建築設計が結びついた決定的な事例がま
  だ現れていないかもしれません。(以下略)


TY:了解です。こうして会話をしていると、貴方は人工知能と建築設計が結びついた新し
  い建築のビジュアルイメージとコンセプトがあるように思いました。新しい建築のビ
  ジュアルイメージを言葉で詳しく表現することは可能でしょうか? 可能であれば英文
  50語程度で述べてくださいそれを画像生成系AIにかけビジアライズしてみたいと思
  います。

AI:Certainly! Here's a detailed description of a visionary architectural
   concept that combines artificial intelligence and architectural design:


   Imagine a futuristic, environmentally-conscious high-rise building
   inspired by the organic shapes of nature. The building's façade features
   an array of photovoltaic cells seamlessly integrated into the curved
   surfaces, maximizing solar energy production. The structure consists of
   a lightweight, self-supporting exoskeleton formed using generative
   algorithms, which optimizes the use of materials while providing high
   seismic and wind resistance.


   This visionary architectural concept represents a harmonious fusion of
   artificial intelligence and innovative design, resulting in a building that
   not only addresses environmental concerns but also enhances the
   well-being and productivity of its occupants.


TY:早速ビジュアル化してみます。ありがとう!

こうして得られたキーワードの束をStable Diffusionに読み込ませ、パラメーターを弄りつ
いくつかの呪文(Stable Diffusion等の画像生成系のAIを使う上で、画像のクオリティ
を上げる為のキーワード)を加えて、100枚ほどの画像を生成し、僕自身の好みで評価し、
以下の4枚を選択した。人工知能により「AIが建築デザインと施工のプロセスに影響を与え
た未来の建築のイメージ」を描くプロセスである。ちなみにすべての作業は1時間ほどで完
了した。

 図1:選んだ四枚の画像。形態にバリエーションがある

 図1:選んだ四枚の画像。形態にバリエーションがある


 図2:図1の4枚の画像の裏にある100枚ほどのボツ画像から、16枚ほどを無作為に選んでみた

 図2:図1の4枚の画像の裏にある100枚ほどのボツ画像から、16枚ほどを無作為に選んでみた


当然のことながら、Stable  Diffusionに打ち込む言葉を換えれば、同様なプロセスを踏んで
も、描き出される画像のイメージはかなり異なる結果となる。

 図3:Stable Diffusionに打ち込む言葉を、サイバーシティを連想させるものに打ち換えて生成
    した画像

 図3:Stable Diffusionに打ち込む言葉を、サイバーシティを連想させるものに打ち換えて生成
    した画像


この一連のプロセスを経験してみて、僕自身は人工知能という道具に、建築デザインや施工
を変えていく可能性を感じたのだが、いかがだろうか。

山梨 知彦 氏

日建設計 チーフデザインオフィサー 常務執行役員