ベトナムの旅~2024年秋~
2024.12.17
パラメトリック・ボイス SUDARE TECHNOLOGIES 丹野貴一郎
半年ぶりにベトナムに行ったのですが、今回は初めてホーチミン市街地以外に行きました。
ベトナム北部、ハノイより南に300kmほどのところにビン(Vinh)と言う地方都市があります。
ホーチミン市の由来となっている現在のベトナム建国の父であるホー・チ・ミンの生家がある
ゲアン省の中心で夏にはクアロービーチリゾートに多くの観光客が訪れるそうです。
残念ながら今はオフシーズンのため、クアローの街はがらがらで、ホテルでも他の客に会う事
もなく、プールやバーもクローズしているという開店休業状態でした。
クアロービーチに向かう広い道路が通ったことで、田畑しかない道路沿いに道路開発時に土地
を売ったであろう方の豪邸が建っており、日本でも見かける不思議な景色となっています。
そんな地方都市のビンの郊外ではEco Central Park Projectという都市開発がすすめられてい
ます。183haという広大な土地に低層住宅、高層住宅、公園、学校、病院、等々、いわゆる
ニュータウン開発です。
販売管理事務所の建物や各住宅は“いまどき”のデザインで、ビン市街地やクアローとは違った
風景となっています。
日本に数年住まれて出身地のビンに帰った方には数十年前の日本だと思ってくださいと言われ
ましたが、まさにその通りで、もしかすると数十年後に現在の日本にあるニュータウンが抱え
る問題と同じ問題を抱えるのかもしれません。
ベトナム戦争の終結は1975年となっておりますが、当時を経験した方の感覚としては1980年
代までは戦争の名残が多く残っていたそうで、ベトナムの近代化はここ30~40年で急速に進ん
できました。ビンのような地方都市にもBIMに取り組んでいる事務所があったりするので、こ
れは建築だけに限ったことではありませんが、ある意味で日本よりもデジタル化がすすんでい
ると言えます。
ここでは発展期に生まれるひずみのようなものを感じることがあり、日本で感じるこれまでの
技術が成熟してしまったが故のひずみとは違う課題があることをお互いに認識しないといけな
いのではないかと思っています。
ちなみにBIMをやられている方に聞くと大学などは海外に行くことも多いが、仕事は国内に
戻って来ることが多いそうです。海外に行っても物価が高いのに外国人枠での給与しかもらえ
ない事が理由のようです。純粋に技術だけに対価が支払われるというのは理想論かもしれませ
んが、安いから頼むというやり方には限界があるので、技術に対する正当な評価は実現したい
と思いませんか?