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コラム

建築BIMの時代39 FMとAI

2026.06.30

ArchiFuture's Eye                 大成建設 猪里孝司

先日、仕事で広島に行った。以前のコラムでも書いたと思うが、路面電車が走っている都市は
よい都市だという信念をもっている。ロンドンのように路面電車が走っていなくてもよい都市
もあるので、路面電車はよい都市の必要条件ではないが十分条件だと勝手に思っている。広島
には広島電鉄という立派な路面電車があり広島市民だけでなく観光客にも愛されているので
文句のつけようもないくらいよい都市である。2025年8月JR広島駅の駅ビルの2階に広島電
鉄の広島駅が出来た。駅ビルの2階から路面電車が発着するわけだ。行ってみたいと思い続け、
約一年越しにようやく実現した。明るく開放的で素晴らしい駅だと思った。皆さんにも是非、
行ってもらいたい。日常生活でこの駅を利用できる杉田先生が羨ましい限りだ。
 
このところFMとAIについて考え込んでいる。FMとBIMも悩ましいが、課題は何となく分かっ
ている。一方、FMとAIについては考える起点、始点をどこに置けばいいのかが分からない。
一番の原因は私がAIについて何も分かっていないことであるがそれとともにFMのどのよう
な問題を解決しようとしているのかが、明確でないこともある。広島出身の私の恩師は、よく
こんなことを言っていた。ある画期的な技術がある時に「この技術を使えば、あんなことも出
来る、こんなことも出来るかという話をする人がいるが、それは話が逆ではないか。どのよう
な問題があり、それを解決するためにその技術をどう使うかが大事である。問題解決のために
技術を使うのであり、問題が先である。技術が先にくるのは単なる技術好きである」と。その
教えに従うと、FMの問題は何かということになる。ChatGPTに助けてもらおうと「FMでのAI
利用の事例」を聞いてみた。ヘルプデスクや設備機器の予防保全、エネルギーの最適化、ワー
クプレイス分析で既に利用されている事例があるようだ。このように個々の業務をサポートし
てくれるAIは有難いものでありサポートしてくれる業務の範囲が拡がればいいと思っている
ただ、それらはこれまでの問題解決手法の延長であり、AIによる画期的な問題解決とは言えな
いように思う。ChatGPTが知らないところで、画期的な取り組みが進行しているかもしれない
まだ公開された情報はないようだFMのイノベーションにつながるAI活用とはどんなもの
なのかを知りたいと思っている。
 
今のところ、AIが万能という訳ではないが、万能に近づけようと数多くの人たちが努力してく
れている。多くの問題を解決するようAIが進歩することは間違いないだろう。一方、AIを有効
に使うためにはデータの蓄積が必須とのことだが、どのようなデータをどれくらいの量、蓄積
すればいいのか今からデータの蓄積を始めて間に合うのか。FMに関連するシステムで蓄積さ
れてきたデータがあれば、そのデータをAIで活用できるのか。データについては分からないこ
とが多い。
 
知識不足情報不足のためFMの問題とAIのシステム、必要なデータ、いつも頭の中で堂々巡
りになってしまう。AIのことをもっと知り、FMのことをもっと掘り下げて考えイノベーショ
ンにつながるようなFMの問題を発見し、それをAIで解決したいと思っている。

 広島電鉄広島駅

 広島電鉄広島駅


 路面電車が走る風景

 路面電車が走る風景

猪里 孝司 氏

大成建設 設計本部 設計企画部 室長