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ユーザー事例紹介

RevitのIFCデータを積算に直結させる、
AIによるIFC最適化<U’sFactory>

2026.09.04

国内のBIMソフトの中で多くのユーザーを持つRevitだが、U’sFactoryの代表取締役
社長の上嶋泰史氏によると、そのモデルデータをそのまま積算に活用できている会社はまだ少
ないという。
背景には、2次元の確認申請図を作成するために用意される構造図3Dモデルと、鉄筋詳細や雑
鉄筋の仕様などが求められる契約用の構造図との間にある、根本的な情報量の違いがある。
sFactoryは、RevitのIFCデータをArchiCADに取り込み、AIが契約用図面から読み
取った正確な部材・鉄筋情報と紐づけて自動変換する「Revit IFC最適化」を開発した。
同社代表取締役社長の上嶋氏に、開発の背景と技術的なポイント、施工図作成まで見据えた狙
いについて聞いた。
 
構造モデルと契約用構造図は根本的に別物
Revitユーザーは全国的に多いが、U’sFactory代表取締役の上嶋氏によると、そのモ
デルデータを積算施工図に活用している企業はまだ少ないという。上嶋氏はその理由として
モデルの性質そのものを挙げる「国土交通省はBIMによる確認申請や積算の実現を見据えた
取り組みを進めていますが、BIMを使って確認申請をつくることでエビデンスが残っていると
いう話と混同されがちです」と前置きする。
「Revitの構造モデルはあくまで2次元の確認申請図を作成するために用意されたデータです
つまり、一般的に“構造図モデル”と呼ばれているものと、契約に使う構造図はそもそも異なる
のです」と上嶋氏は指摘する。

        株式会社U’sFactory 代表取締役社長 上嶋 泰史 氏

        株式会社U’sFactory 代表取締役社長 上嶋 泰史 氏


鉄筋や鉄骨の詳細情報や部分詳細図、特記仕様の図などは、実務上は2次元図面として作成さ
れ、3Dモデルの中のワークシートに貼り付けて管理されることが多い。つまり3Dモデル自体
は、見積もりに必要な情報を網羅していないという。この事情は、RevitとArchiCADのいずれ
の構造モデルでも変わらない、と上嶋氏は言い添える。
「見積もりは、あくまでも契約用の構造図からつくる必要があります。設計変更を反映した情
報が網羅されているのは、契約用構造図だからです」。この認識のズレがRevitのデータが積
算に直結しない構造的な理由であり、この前提を押さえなければ「構造モデルで積算する」と
いう発想が成り立たないと上嶋氏は説明する。
 
IFC連携が抱える壁とワンクリックで積算までつなぐ最適化
では、RevitのIFCデータをArchiCADに取り込むだけで解決するのか。実際にはそこにも技術
的な壁があるという。一つ目はレイヤの問題だ。IFCデータを取り込むと、柱も梁も壁もすべ
て同一のレイヤとして読み込まれてしまい、部材ごとの表示・非表示や編集ができなくなる。
二つ目は部材符号の問題で、IFCの部材IDには冗長な情報が自動的に付加されてしまい、契約
図面で使われる簡潔な符号と一致しない現象が起こる。


三つ目が、柱や梁とスラブの取り合い部分などで発生する「包絡(ほうらく)」の問題だ。
「頂点の定義だけを持った3Dオブジェクトとして取り込まれてしまうため、ネイティブな柱
ツールや梁ツールとして認識されず、鉄筋配置や型枠作成といった後工程がまったく行えなく
なります」と上嶋氏は説明する。建具や開口についても同様で、編集できない形状のまま取り
込まれてしまうケースが多い。これらの課題は単純なIFC連携だけでは解決できず、積算や施
工図作成に実務利用するには抜本的な最適化が不可欠であった。
そこでUsFactoryが開発したのが、「Revit IFC最適化」コマンドだ。


柱・梁・壁・スラブ・基礎・ゾーンといったレイヤへの自動振り分け、部材符号の整形、包絡
オブジェクトのネイティブ部材への自動変換までを一括処理する。建具・開口についても、
ArchiCADのネイティブな窓・建具部材へ置き換え、実際の製品仕様への再割り当てを可能に
した。
さらに核心となるのが、AIが契約用のPDF図面から正確な鉄筋・型枠情報を読み取り、変換と
同時に部材へ紐づける仕組みだ。鉄筋の独特な表記も正しく解釈できるのは、上嶋氏が鉄筋工
や型枠工など専門工事会社と連携しながら開発を重ねてきた知見によるものだという。この技
術は、同社が2023年秋にリリースした「AI Structure」で培ってきたもので、複雑な鉄筋の
記法を高い精度で読み取り、テーブルデータとして整理する仕組みが応用されている。同社は
近年、読み取るべき領域をあらかじめ「上端」「下端」「諸元範囲」「リスト範囲」として人
が指定してからAIに解釈させる「諸元範囲」という発想を導入し、これによって従来7~8割
程度にとどまっていたPDF図面の読み取り精度を99%まで高めているという。


鉄筋型枠情報が部材に付加されることで、「梁の鉄筋作成」「柱の鉄筋作成」といった、部
材パラメータを前提とするコマンドが初めて有効になる。大梁・小梁については、柱面への食
い込みの排除に加え、外端部か連続端部かといった条件判断、柱幅(柱せいD)の3/4以上の
位置まで鉄筋を埋め込んで定着長さ(L2)を確保するといった鉄筋の納まりルールも内蔵して
おり人が頭の中で判断していた作業を自動計算で最適な配置に落とし込むという。
 
意匠データも連携、Revitユーザーに広がる選択肢
意匠データについても連携が可能だ。Revit側で例えば壁のボードやLGSなどの層構成を「ア
センブリ」として正しく登録しておけば、ArchiCADの「複合構造壁」として互換的に取り込
める。ゾーン形状の連携により、LGSボードの自動発生といった機能も活用できるという。
作業時間の削減効果は大きい。「人が手作業で修正していくなら3~4日はかかる内容が、
30分から1時間程度で完了します」と上嶋氏は語る。操作もチェックを入れて実行するだけの
一括処理に統一されており、作業は簡略化されている。


「AI Structure」や「BI Structure」などですでに培った基盤技術を応用したことで、開発は
実質3週間ほどで完成に至ったという。大手企業の実データを用いた検証も進めており、実務
レベルでの変換精度が確認されている。
上嶋氏は、今回の開発はRevitユーザーに対する乗り換えの提案ではないという。「Revitユー
ザーの方には既存の環境を保ったまま、積算・施工図作成のサポートツールとしてArchiCAD
を試していただければと思います」。同社が積算システム「BI for AC(BI for ArchiCAD)」
の開発を始めたのは2013年。以来12年間で80社を超える実務担当者からの要望を受け、
10,000件近い項目の追加修正を重ねてきた新たに備えた構造図の自動作図機能もその一つ
で、計算式に基づく数字だけでなく、型枠の計算一覧表や鉄筋の加工帳、工程別の数量明細、
仮設計画までを自動生成する。「そこにRevitのIFCデータを橋渡しすることで、施工図作成や
工程シミュレーシン、協力会社との連携まで含めて、短期間で正確なBIM積算とその根拠を示
す説明責任を果たせる仕組みを実現できます」と上嶋氏は強調する。


BIMの普及をめぐってはソフト選びの議論になりがちだが、上嶋氏は「大事なのは、正しい数
量が自動的にBIMから出てきて見積書までできあがり、お客さまに単価を入れてそのまま提出
できることです」と話す。今回の「Revit IFC最適化」により、ArchiCADを基盤とする積算シ
ステム「BI For AC」が積み上げてきた施工図自動作図や工程シミュレーションなどの機能群
をRevitユーザーも活用できるようになることは、実務の生産性向上に直結する。そして、
AI StructureでPDF図面から読み取った部材情報は、3Dモデルの自動生成から見積書、さらに
は施工図や現場での情報共有にまで一気通貫でつながる設計になっている。上嶋氏の言葉を借
りれば「日々の当たり前の作業をいかに簡単にできるか」を追求する歩みの中で、Revitユー
ザーが手にする選択肢は格段に広がりつつある。

「Revit IFC最適化」の詳しい情報は、こちらのWebサイトで。